U08-2

雷放電・雷雲活動において発生する高エネルギー放射線

Energetic radiation associated with lightning and thunderstorm

 

David Smith

University of California, Santa Cruz

 

共同研究者氏名・所属

鴨川仁、静岡県立大学 Masashi Kamogawa, University of Shizuoka

Gregory Bowers, ロスアラモス国立研究所 Gregory Bowers, Los Alamos National Laboratory

榎戸輝揚, 京都大学 Teruaki Enoto, Kyoto University

John Sample, モンタナ州立大学 John Sample, University of Montana

 

研究結果(プロジェクト報告)の概要

1990年代より雷活動起源の放射線(ガンマ線エネルギー領域の制動X線)が多数報告されるようになった。現在これらの放射線は落雷に伴うショートバースト(数十ミリ秒の持続時間)と雷雲通過時に発生するロングバースト(数十秒の持続時間)の2種類が存在すると言われている。発生機構は、前者については落雷の前駆放電経路内の電子加速が起因する制動X線、後者については雷雲内の強い電場が宇宙線で電離した電子加速の雪崩的発生時の制動X線が有力な仮説とされている。本研究は多数の報告があるものの、放射線と雷放電などの多種多様な観測が必要とするため、仮説検証が難しい。そのことから発生機構に関する学界のコンセンサスはまだ得られていない。富士山頂では、放射線源から近距離であるため明るい雷放射線が検知でき、また多数の気象・大気電気観測があるため物理機構の解明につながると考える。

放射線測定器は3種候補がある。①大きな結晶を搭載し微弱な放射線検知も可能としたGODOT(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)、②多点観測を容易とするモバイル性の高いGROWTH(京都大学・東京大学)、③気球搭載用として開発され低消費電力運用が可能なLAFTR(モンタナ州立大学)である。本年は設置の労務の制限から②のGROWTHのみの観測とした。また観測維持の制限から7月のみの観測となった結果、雷雲の接近はあったものの事例の獲得はできなかった。