U-09

ライブカメラによる光学観測

Optical Observation using a Live webcam at the summit of Mt. Fuji

 

 

氏名・所属

鴨川仁 Masashi Kamogawa (富士山測候所を活用する会 NPO Mount Fuji Research Station)

 

共同研究者氏名・所属

趙泰勇、株式会社 Cho&Company (Cho Tae Yong, Cho & Company Co., Ltd.)

 

 

研究成果の概要

様々な研究分野で求められている山頂でのその場(insitu)光学観測を、高性能ライブカメラ機器を用いて夏季期間24時間観測を行う。本プロジェクトのライブカメラによって撮影された静止画・動画は、夏期観測参加研究者に提供しており、これらはそれぞれの研究のデータ解析に用いられている。過去では大気電場変動と雲海の形成について議論したKamogawa et al. (Geophys. Res. Lett., 2015)などの成果が得られている。現在では、従来から必要とされていた大気化学研究だけでなく、積乱雲の上部にできるJumping Cirrusなどの研究(Seguchi et al., J. Meteor. Soc. Japan, 2019)にも用途が広がっている。そのためライブカメラでの映像の質の向上は、常に求められており、従来使用していた低画質カメラから高画質のカメラの変更が求められていた。カメラの機能としては7月上旬から8月下旬までの夏季中ライブカメラの屋外運用、リアルタイム動画配信およびデータのローカル保存が必要とされる。ここで本研究においては、Cho&Company社のMORECA (MOBILE REMOTE CAMERA)を用いた。画質は1280x720(高品質モード時)であり、動画コマ数は10fps (変動)となっている。設置方向と設置数については過去本NPOにおいて行われていた低画質カメラでの東西南方向3台から、東方向1台のみに変更した。ライブカメラの動画はNPOの公式サイトからYoutubeのシステムを組み込むことで常時動作確認できるほか、一般公開とした。そのため環境省・山梨県・静岡県による富士登山のための総合サイト『富士登山オフィシャルサイト』などからもリンクを貼り、多数の登山客や富士山に興味のある一般市民に活用されている。MORECAは低照度カメラであり赤外線カメラに比べて夜間に光源が取れる場所ではより映像が鮮明である(図1)

 

 (a) 御来光
(a) 御来光
(b) 夜景
(b) 夜景

 (c) 神奈川方向の全容
(c) 神奈川方向の全容
 (d) 積乱雲の発達時
(d) 積乱雲の発達時

図1 MORECAによる東方向の映像

 

次に、一般公開としたことによる利用者の反応を分析した。公開ホームページへのアクセス状態をしらべるために7月12日にGoogle Analyticsを設定した。その後、7月29日に『富士登山オフィシャルサイト』(環境省・山梨県・静岡県による富士登山のための総合サイト URL: http://www.fujisan-climb.jp)、8月7日に『あっぱれ!富士登山』(夏期シーズン限定の富士登山情報サイト URL: http://www001.upp.so-net.ne.jp/fujisan/)からそれぞれリンクを貼った。夏季期間中のアクティブユーザー総数は17,003であった。(図2)

 

図2 Google Analyticsによるアクティブユーザー数の時系列分布 (2019/7/1-2019/8/31)

 

アクセスが多かった日は①860ユーザー(8月14日)②837ユーザー(8月21日)③825ユーザー(8月15日)である。

また、図3に示された詳細分析によれば、(a) デバイス別ではモバイルが半数以上(55%)を占めている。(b) 流入元別では Referral (参照元サイト=リンクを貼られたサイト) が70%を占めており、(c) その内訳は①『富士登山オフィシャルサイト』が40%、②『あっぱれ!富士登山』(夏期シーズン限定の富士登山情報サイト)が24%で、この2サイトで3分の2を占めている。ただし、②はリンクを貼った時期が8月7日と遅かったので通算では①より少ないが、それ以降の割合では①を上回り最多となっている。なお、(b) 流入元別の Direct (ブラウザのブックマークなど他のサイトを経由せずに来るアクセス) は23%で会員の方や夏期観測参加者などはこれに該当すると想定される。

 

(a) 利用デバイスの内訳

 

(b) 流入元の内訳

 

(c) 参照元 (Referrel) の内訳

 

図3 利用者分析