U08-1

雷現象により富士山体上接地線に流れる電流測定

Measurment of Current Flowing in the Ground Wire on Mt.Fuji by Lightning Phenomena

 

氏名・所属

佐々木一哉 Kazuya Sasaki

弘前大学  Hirosaki University 

 

共同研究者氏名・所属

鴨川 仁/ 静岡県立大学 Masashi Kamogawa/ University of Shizuoka

安本 勝/ 富士山環境研究センター Masaru Yasumoto/ Laboratory for Environmental Research at Mount Fuji

土器屋由紀子/ 富士山環境研究センター Yukiko Dokiya/ Laboratory for Environmental Research at Mount Fuji

 

研究結果(プロジェクト報告)の概要

 今年度の夏期観測に使用した接地線電流測定系(図1)は、今までに生じた問題点を改良しトラブルの発生を少なくし、安定な測定を可能にしたことにより、雷現象で接地線に流れる多数の電流測定を可能にした。特にオフセットにより安定なトリガができない場合が見られたため、その改善に低域の周波数特性を損なわない範囲でAC結合を多用し、安定なトリガと高感度の電流測定を可能にした。測定の結果、周辺の多数の雷現象による接地線電流を測定できた。例えば、周辺雷現象観測用の高感度測定系で電流観測数は1万を超えた。他の位置と雷電流の落雷情報とを考え合わせることで、雷現象測定器としてのより正確な特性評価も可能になる。 

 

図1 接地線電流測定系

 

 

 図2の測定例は、下向き雷のステップトリーダとリターンストローク全体像測定用測定系で観測されたもので、二重落雷と推測されるものである。左図は接地線を流れる電流であり、右図はそれを積分したもので、検出器を流れた電荷量を現している。測定結果から、以下の三つの現象、①電磁結合による電流、②富士山測候所電極捕集電流、及び③雷雲の誘導電流、が重畳したものと推測される。測定例では最初の落雷のステップトリーダと二番目の落雷のダートリーダの初期開始放電と推測されるものが観測されており、この前兆現象は他の観測例でも観測される傾向がある。測候所直撃雷用測定系は、上向きの直撃雷の場合、予測される前兆現象も捉えられるようにしたが、測定期間中、直撃雷は測定されていない。

 

図2 測候所周辺の二重落雷と推測される測定例 2019年7月23日 01:23:50 (JST校正済) ±1~2 (s)