氏名 畠山史郎
所属 埼玉県環境科学国際センター
共同研究者氏名・所属
島田幸治郎、米持真一、Neng-Huei Lin、Chak K Chan
研究結果の概要
富士山測候所と台湾のLulin山で越境大気汚染物質を同時観測することで、東アジアにおける越境大気汚染の輸送メカニズム及びそのエアロゾルの変質過程を解明することを目的としている。本研究は2015年の継続研究であり、フィルターで粒径別に捕集されたエアロゾル中の化学成分をエアロゾル質量分析計で分析することで、エアロゾルの変質過程の解明を行う。
富士山測候所において、2015年8月9日から8月19日まで大気中の粒子状物質を粒径別に10μm以上、10μm以下2.5μm以上、2.5μm以下1μm以上、1μm以下0.5μm以上、0.5μm以下0.1μm以上の5段階に分けて捕集した。サンプリング時間は、6:00 ~18:00(谷風時)と18:00~6:00(山風時)とし、山風と谷風を考慮して行った。6:00 ~18:00(谷風時)と18:00~6:00(山風時)では、富士山頂の様子は異なっており、6:00 ~18:00(山風時)は対流圏内に位置しており、18:00~6:00(谷風時)は自由対流圏内に位置していると考えられている。
この期間の粒子状物質を含んだ気塊がどこから移流したか調べるため、後方流跡線解析を用いて行った。その結果、8月9日~8月15日の期間は、中国起源の気塊が富士山頂に移流していたことがわかった。8月16日は太平洋から台風が富士山に接近していたため、気塊は太平洋起源であることがわかった。
現在、捕集した試料を分析するための前処理を進めている。試料の分析が完了次第、CalipsoやMODISといった衛星データも用いて越境大気汚染の解析を進める予定である。